最近ウマ娘にハマってるVTuber光りりあです!今回は、ウマ娘で大人気のキタサンブラックの競走馬生活を振り返ってみたいと思います。
ウマ娘の育成サポートカードでは、「人権」と言われるほどの強力カードですね。
キタサンブラックとは?基本情報!
キタサンブラックは、演歌歌手で有名な北島三郎さん(名義は大野商事)が馬主の元・競走馬。通算成績20戦12勝。GⅠ7勝。
獲得賞金18億7684万円で、アーモンドアイに抜かれるまで歴代1位でした。
父はブラックタイド(ディープインパクトの全兄)、母はシュガーハート、母の父はサクラバクシンオー。
生産地はヤナガワ牧場。調教師は清水久詞師。主戦騎手は、最初は北村宏司さん、後に武豊さん。
ウマ娘では、トウカイテイオーに憧れる後輩キャラとして登場しました。初出はアニメの2期。
なおアニメの1期で、そっくりな子が出てきているものの、その関連性は明かされていません。
現在はゲーム版で、最強のSSRサポートキャラとして活躍しています。
キタサンブラックの競走馬時代のストーリー
ここからは、キタサンブラックの戦積を振り返ります!
ウマ娘の育成になぞらえて紹介していきましょう。
3歳時は過小評価されていたこと、「母父がサクラバクシンオー」だから長い距離ムリだと1年以上思われてたことが今回の主な内容になります。
3歳初頭 ~遅いデビュー~
通常、クラシックを目指す期待の競走馬は2歳(ウマ娘で言うジュニア級)の早い頃にデビューを済ませます。
早ければ6月にも出走して、1勝しておきます。
ウマ娘のメイクデビューもまさにこの時期に設定されています!
そうすると、3歳(ウマ娘で言うクラシック級)の1~3月は余裕を持ったスケジュールを組むことができますからね。
※ちなみに馬の年齢は、誕生日ではなく年が明けた時に、一斉に1歳増やして数えます。
しかし、キタサンブラックは2歳時にデビューができず、3歳初頭、2015年1月31日になってようやくデビューを迎えます。
3番人気で、結果は1着。1と1/4馬身差の差し切り勝ちでした。
さてこの時、3歳春の最大の目標ダービーはちょうど4か月後の5月31日。
ウマ娘で言うとちょうど8ターン後、つまり7ターンで出走できる態勢を整えなければなりません。
しかもダービーに確実に出走するには、最低2レースで結果を残さないといけない状況。
もしウマ娘でメイクデビューも含め、9ターンで4つの目標を与えられたとしたら、ずいぶん難しいシナリオだと感じるでしょう。
夢のダービーを目指すには余裕がなく、かなり難しい日程でした。
というか、この時点で陣営はダービーに出れるとは思ってなかったでしょう。
馬主が北島三郎さんと聞くと、大物感を感じさせますが、サブちゃんは馬の世界ではあくまで零細個人オーナー。
当時すでに40年近かった馬主人生の中で、過去にダービーに出たのはたった一度だけ。
超お金持ちやガチの企業勢が集う日本の競馬の中では、小さな存在なのです。
それは清水調教師も同様で、ダービーを勝つどころか出走することすら夢でした。
そんなわけで、程々の期待でキタサンブラックは2月後半に重賞でもオープンでもない一般戦の500万下(現在で言う1勝クラス)に出走します。ウマ娘だと存在しないレースですね。
9番人気でしたが、2番手追走からの3馬身差で快勝しました。
この勝利で「これは行ける」と判断した陣営は、クラシックを目指すことに決めました。
この時2着のサトノラーゼンが、ダービーでも2着になることは、まだ誰も知らないお話でした。
3歳春前半 ~皐月賞出走、父と同じ道へ~
3歳春の3月、前走からまた1か月後。キタサンブラックは、まず皐月賞の前哨戦であるGⅡスプリングSに照準を定めました。ここで3着以内に入れば、皐月賞に出走できます。
スプリングSは、父ブラックタイドも勝利したレースで、血統的にも相性は抜群です。
しかし対戦相手は一気に強力になりました。育成で、モブウマ娘が急に減った時のことを思い出してください。あんな感じ。
まず、ここまで無敗でGⅢ共同通信杯を勝利し、世代最強クラスと言われたリアルスティールが1番人気。
2番人気はGⅠの朝日杯FSを制覇したダノンプラチナ。
どちらも父の弟であるディープインパクト産駒です。
そして我らがキタサンブラックは……、5番人気でした。一般戦を勝っただけなので、まあこんなものでしょう。
ウマ娘のゲームでは能力によってAIが人気を決めますけど、実際の競馬では直近の実績が人気に反映されます。後は血統とか。
しかしキタサンブラックは、この評価を結果で分からせます。
またも2番手追走から直線で先頭に立つと、そのまま押し切って1着でゴールイン!
2着リアルスティールの猛追をクビ差でしのぎました。これで重賞初勝利。そして皐月賞の出走権も手にしました。
そこからさらに1か月後の4月、牡馬クラシック三冠の一冠目、皐月賞を迎えます。
3戦3勝で臨んだキタサンブラックは……、4番人気でした。
1番人気はサトノクラウン。弥生賞を制して3戦3勝でした。
2番人気はリアルスティール。3戦2勝、前走でキタサンに敗れてもなお上位評価は変わりません。むしろ前走は負けてなお強しという評価。
3番人気はドゥラメンテ。4戦2勝、重賞未勝利ながら、強烈な末脚で大物感を漂わせていました。血統も父がキングカメハメハ、母父サンデーサイレンス、母母エアグルーヴという超良血馬。
血統表にエアグルーヴがいるともう強そう。
さて結果は――、キタサンブラックは3着でした。
また2番手を追走し、直線で粘りこむという戦法でした。
驚異の粘りで、逃げたクラリティスカイには競り勝つも、リアルスティールに今度はアッサリかわされました。
そして、さらにその外からとてつもない末脚を炸裂させたドゥラメンテが、豪快に差し切り勝ちをしました。
直線の短い中山の皐月賞で差しを決めるのは、ウマ娘やっていればいかに難しいかは分かるはず。
よって「とんでもない大物が出た!」と、人々はドゥラメンテの鮮やかな勝ちっぷりに魅せられました。
キタサンブラックも初めて敗れはしたものの、4着以内に入ったことでダービーへの出走権を手に入れました。
ほんの3か月前までは、遠い夢舞台のように思われていた場所は、もう夢ではなくなったのです。
3歳春後半 ~夢のダービー出走~
全てのサラブレッドの目指す場所、日本ダービー。
キタサンブラックはデビューから4ヶ月後、その夢舞台に立っていました。
ただし、この年のダービーは、ドゥラメンテが話題の中心でした。
皐月賞をあれだけの末脚で快勝したので、ダービーならもっとすごいはず、と期待され断然の1番人気でした。
一方キタサンブラックは、6番人気に評価を落としました。
これまで破っているサトノクラウンとサトノラーゼンよりも人気が下のことから、前走で敗れたことだけが理由ではないようでした。
まず真っ先に考えられるのが、血統。母父がサクラバクシンオーだということです。
おじいさんが、ウマ娘のイメージの通りバリバリの短距離馬。そしてキタサンブラックも、それを受け継いでいるような胴詰まり体型(※)。どう考えても2400mは長いだろう、と考えられていました。
つまり育成モードの継承でスピードは上がってるけどスタミナは全然上がってない感じです。
※馬の体型は、胴が短いと短距離向きで、長いと長距離向きと言われています。
また父のブラックタイドも、種牡馬としてそれほど評価されていませんでした。ウマ娘的に言うと因子をあんまり持ってないだろうと思われていました。
ディープインパクトの全兄(父も同じ兄)でありながら、ブラックタイドという種牡馬は、「天才すぎる弟の影に隠れた地味な兄貴」というイメージでした。
あとは、2番手追走で粘りこみという戦法も地味で、印象に残りづらいものだったように思えます。
さらに馬主、サブちゃんが「勝ったら『まつり』を歌う」と宣言していたのも、なんとなく負けフラグに聞こえ、評価を下げていたかもしれません。
さて第82回日本ダービーですが、またドゥラメンテが鮮やかな差し切りで春二冠を達成しました。
2着はサトノラーゼン、3着はサトノクラウンでした。
キタサンブラックは……、キャリア最悪の14着に沈みました。
いつも通り2番手追走の形で、直線途中までは良かったのですが、ラスト200mでズルズルと失速しました。
この敗因はスタミナ不足だったのか、夢のダービー出走のために5ヶ月連続出走の無理が祟ったのかは分かりません。
3歳秋 ~低すぎる評価、それでも初栄冠へ~
3歳の9月後半、キタサンブラックは4か月の休養を経て、菊花賞を目指します。
ウマ娘でいうと、夏合宿を経て強化された頃です。
まずは、前哨戦のセントライト記念。
当然ダービーよりもメンツは落ちますが、それでもキタサンブラックはまた6番人気でした。
好走よりも、前走のダービーの惨敗っぷりがファンの印象に残ったのでしょう。
サトノラーゼン、ブライトエンブレム、ベルーフが人気を集めていましたが、実は春に一度キタサンブラックに敗れた馬ばかりでした。
この低評価は、むしろキタサンブラック陣営には、ありがたいものでした。
いつも通り2番手追走し、特に人気馬にマークされるわけでもなく、スムーズにレースを運び4分の3馬身差の1着で秋初戦を飾りました。
そして10月、迎えたクラシック三冠の最終戦、菊花賞。
最大のライバルがアクシデントを迎えてしまいました。
三冠が期待されたドゥラメンテは、故障で戦線離脱してしまったのです。
2010年代では90年代に比べ競走馬のケガは格段に減っていたのですが、トウカイテイオーのように三冠目前で無念の負傷になりました。
よって菊花賞は、主役不在で混戦模様になりました。
さあ前哨戦を制したキタサンブラック、ズバリ人気は……5番人気でした。
やはり「サクラバクシンオーの孫が3000mなんてもつわけないだろ!」というのが多くの人の認識だったようです。
6戦4勝、重賞2勝の馬に対する評価とは思えませんね!
バクシンの呪縛は重かった。
1番人気はもう一つの前哨戦、神戸新聞杯を2馬身差で勝ったリアファル。秋から伸びてきた新鋭でした。
父がゼンノロブロイ、母父にエルコンドルパサーというウマ娘的にも注目されそうな血統です。ルメール騎手が乗っていたのも人気の理由だったはず。
2番人気はリアルスティール。3番人気はサトノラーゼンと、またキタサンブラックに敗れた経験のある馬が名を連ねました。
かくして菊花賞本番。いよいよ3000mを舞台にした長距離GⅠがスタートです。
序盤からリアファルと人気薄のスピリッツミノルがハナを主張しあう激しい展開。
ミュゼエイリアンとレッドソロモンも続き、キタサンブラックはそれらを見る位置の5番手を追走します。ハイペースの序盤で、早くもサバイバルの予感です。
その隊列で一旦はペースが落ち着きますが、中盤は一転して超スローペースに。
向こう正面で、しびれを切らしたアルバートドックやタガノエスプレッソが前に並びかけ、順位の入れ替わりの激しいレース展開に。
そんな中キタサンブラックは内につけて、慌てず、じわじわ追走します。
終盤、ペースは乱高下し、ほぼ横並びの団子状態で直線を迎えます。だれが抜け出すのか全く分かりません。
キタサンブラックは4コーナー8番手で内に包まれてしまい、苦しい位置取りになってしまいます。
最内からの抜けだしに賭けるキタサンブラックと北村友一騎手。
しかし前にいたミュゼエイリアンと完全に進路が被り、さらに外で追い出しを待っていたリアファルに挟まれて絶体絶命のピンチ。
これは厳しいか……と思われたその時、北村騎手はわずかに進路を外に変更。
ここからキタサンブラックは再加速し、ミュゼとリアファルの間を強引に割って抜け出す!残り200m!たづなさんもビックリのパワーと根性。
ミュゼが脱落し、キタサンがリアファルの半馬身前に出ます。
最後の最後まで追ってきたリアルスティールをなんとかクビ差で凌ぎ、ついにキタサンブラックがGⅠ菊花賞の栄冠を手にしました。
これには北島三郎オーナーも感激し、表彰式で「まつり」を熱唱しました。
一体この馬が何故、3000mがダメだと思われていたんでしょうか?
母父サクラバクシンオーという先入観はおそろしいですね。
スピードもスタミナもパワーも根性もバランスよく備えていた万能タイプ、それがキタサンブラックでした。ウマ娘でいうとオールBのような感じでしょうか。
また、春先はクビが高くなりがちと言われた走法も改善され、沈み込むような走法に成長していました。
3歳冬 ~格上挑戦、はじめての有馬記念~
ドゥラメンテ不在だったとはいえ、3歳の頂点に立ったキタサンブラックは、暮れの有馬記念に出走を決めました。あのドリームレースですね。
3歳馬代表として、古馬の強豪に挑む立場でした。
ウマ娘の育成だと割と楽勝なクラシック級の有馬記念ですが、高校を出たばかりの新人選手がいきなりトッププロと戦うようなものですから、そう簡単には勝てません。
そしてこの有馬は、ご存知ゴールドシップの引退レースでもありました。やらかし癖もあるものの、GⅠ6勝の名馬。
得意のコースで花道を飾って欲しいと、ゴルシはファンに1番人気の支持を受けました。
2番人気は同年の宝塚記念、天皇賞秋を制したラブリーデイ。
3番人気には流石にキタサンブラック……と思いきや、菊花賞で3着のリアファルでした。
キタサンブラックは4番人気。どうやら、菊花賞を勝ってもまだ「マグレだ」と思われていたようです。かなしい。
ルメール騎手がリアファルに乗っていた分の人気差だとは思いますけどね。
さて始まった有馬記念。今回キタサンブラックは今までと違う戦法をとります。
得意の2番手追走ではなく、先頭に立ってレースを引っ張ります。
最後方ぽつんと一頭の作戦をとったゴールドシップとは対極です。
はじめての逃げとなったキタサンブラックですが、道中は12秒台後半のペースで安定したラップを刻みます。
中盤でリアファルが競りかけてきても丸で動じません。
レース終盤に差し掛かるころ、最後方にいたゴールドシップが一気のまくりで場内を沸かせます。
一瞬、このまま全頭を抜き去るのでは?と予感させますが、6歳で衰えもあったのでしょうか、直線で勢いが失われてしまいます。
一方、若いキタサンブラックは活力に満ち溢れていました。
直線入り口で、前走エリザベス女王杯を勝ったマリアライトに抜かれそうになりますが、持ち味の粘り強さで意地でも譲りません。
最後は伏兵のゴールドアクターとサウンズオブアースにかわされてしまうものの、初の古馬GⅠ挑戦は3着と、悪くない結果でした。
3歳代表として、古馬GⅠの勝ち馬に先着できたのは上々でした。
キタサンブラック、3歳時成績まとめ
これでキタサンブラックの3歳シーズンは、8戦5勝、菊花賞1着、有馬記念・皐月賞3着と、中々の結果で終わりました。
ダービーの14着が悔やまれますね。
そしてこれ程の成績を残したにもかかわらず、常に5番人気前後という人気のなさでした。
新馬戦の3番人気が最高だったという、すさまじい過小評価でしたね!穴党にはいい馬だったかも。
キタサンブラックの3歳時を見ていると、人気というのは、戦績だけではないのが分かります。
血統をはじめ、馬主・調教師・出身牧場が大手であるかどうかもかなり重視されているようです。キタサンブラックは、全てにおいて大手出身ではありませんでしたからね。
この過小評価は「母父サクラバクシンオーで長距離向かなそう」「父も馬主も調教師もGⅠ制覇経験なし」「牧場もダートと短距離以外のGⅠ経験なし」というブランド力の欠如が原因だったと思われます。
しかしこの後、キタサンブラックは実力でブランド力を身につけていきます。
それから、キタサンブラックの「差されそうで差されない」というレーススタイルも、過小評価の原因かもしれません。
ギリギリの所で粘り勝ちすることが多かったので、なんとなくリアルスティールなどの差し馬が取りこぼしたのかな?という風にもとれてしまうレースが多かったんですよね。
常に接戦で、泥臭く粘る。そんなキタサンブラックの姿が、このSSRイラストの汗にも反映されているんじゃないでしょうか。
次回は、ドゥラメンテとの最後の決戦、サトノダイヤモンドとの対戦、そして王道を突き進んだ5歳時を記していきます。