この頃日本では、成人式の日に預かった金を持ち逃げしたり、ライバル選手に薬を飲ませたりする悪徳ビジネスが流行っているようだ。
そんな悪党達にどう対抗していけばいいのだろうか。
基本的には自衛だ。世の中にいる人達が良い人ばかりではないということを心得て置き、注意を払って生きなければならない。
ましてや多額の金銭が絡んだり、人生を懸けた戦いをしている場合はなおさらだ。
さて、任天堂は自衛という意味でも強力な組織である。
任天堂は1月10日、コロプラに対して特許侵害の訴訟を起こしたことを明らかにした。
そしてすでに認知度の高い「白猫プロジェクト」の配信を止めるようにまで要求したのだ。
参考サイト: 任天堂、コロプラを提訴 特許侵害で「白猫プロジェクト」差し止め求める - ITmedia ビジネスオンライン
争点はなんなのか?
報道によると、
「タッチパネル上でジョイスティックを操作する際の技術の特許」
などが争点になっているらしく、両者の話し合いは1年以上に及んだが交渉は決裂したとのこと。
任天堂の要求は44億円の賠償金と遅延損害金、そして「白猫プロジェクト」の差し止めだというのだから恐ろしい。
このタッチパネル上でジョイスティック操作、というものであるが任天堂は「ス―パーマリオ64DS」(2004年)の頃からこの特許を取得していた。
それが「白猫プロジェクト」の"ぷにコン"と呼ばれる操作方法が、これと酷似しているというのだ。
参考サイト:白猫プロジェクトのぷにコンってなんのこと?
私もこの話は以前から噂では聞いていた。だが私の知識では、正直コロプラに非があるのか、任天堂の主張が不当なのかは分からない。
ただ、任天堂の今回の裁判での請求内容はあまりにも過激なもので、驚かされた。
TVCMもさんざん流れたコンテンツを潰してしまおうというのだから、その憤りは測り知れない。
任天堂法務部のこれまで
どちらに正当性があるのかは分からない。だが今回の裁判は、もう結果が見えているような気がしてならない。
それは企業規模が違い過ぎるというだけではない。
1月10日時点の時価総額で見たらコロプラが1561億円、任天堂は6兆2700億円。
確かにこれだけ見ても到底コロプラが勝てるとは思えない。
それだけではない。任天堂には「最強」と呼ばれる法務部が存在する。
任天堂は数々の訴訟沙汰に勝利してきた。
例:
- ユニバーサルスタジオから「キングコング」と「ドンキーコング」の類似性を指摘され訴訟されるが、逆に名誉棄損で訴え賠償金を勝ち取った。
- ユリ・ゲラーからポケモンの「ユンゲラー」が自分のイメージを損ねていると訴えられたが、「ユンゲラー」という名前が日本でしか使用されていない点を指摘し、勝訴。
果たしてコロプラは、このような修羅場をくぐってきた任天堂相手に勝機はあるのだろうか。
一方でコロプラには、鎌田真理雄(かまた まりお)氏という頼もしい名前の弁護士がいるらしい。敵の回し者のような気もするが。
株価への影響と動き方
さて、この騒動を他山の石として見守るだけなのも気楽でいいだろう。ただこれは好機と見ることもできる。
今回の騒動は間違いなく、株価へ影響を及ぼす。特にコロプラの方にだ。
そこで私は、今回の騒動で利益を得るにはどうすればいいか考えてみた。
ちなみに1月10日現在、
コロプラ株価:1,225円
任天堂株価:44,230円
となっている。ここからどう動くか。
コロプラの株を空売りする。
将来的に44億円の賠償金+遅延損害金+主力IPを失うことが予想されるコロプラ。
株価の下落は避けられないだろう。そこで、誰もがとるスタンスであるが、空売りを仕掛けるのだ。
まあ1月11日の始値からもう十分に下落していることが予想されるのであまり大きな利益は期待できないかもしれないが、リスクも100株だけならそれほど大きくなさそうだ。
ちなみに1月11日にストップ安になったら925円。もし10日の終値の時点で空売りしていたら、100株で3万円の利益(税・手数料を非考慮)になっていたであろう。
コロプラの下落を待ち、押し目買いをする。
始めに言っておくが非常にリスキーな行為なので、あまりおススメできるものではない。
ただパニックセルが起こって、あまりにも下げ過ぎるとしたら、押し目買いのチャンスかもしれない。
仮に44億円賠償金を支払うとして、もし私だったら一生払えない程の痛手だが、コロプラにとっては営業利益1か月半分を失うだけだ。
もちろん、売り上げの中心をなす白猫プロジェクトを失ったら損失は44億円では済まないだろう。
が、コロプラには他にもIPがある。「魔法使いと黒猫のウィズ」もある、「ディズニー ツムツムランド」もある、「バトルガールハイスクール」もある、その他色々ある。
これだけのコンテンツがあり時価1500億円の会社が即倒産とは考えにくい。倒産しなければいつかは株価が騰がるだろう、ということだ。
他のゲーセクの下落を待ち、押し目買いをする
コロプラがやらかしたことでゲームセクター、他の同業他社も危ないのではという危機感が蔓延し、アカツキやKLabなども株価を一時的に株価を下げるかもしれない。
そこで押し目買いだ。これが最もリスクが小さい方法だろう。利幅も小さいだろうけどね。
またアカツキなんかも最近急激な変動があったので、しっかり銘柄を選ぶ必要はある。
※追記
1月11日時点でコロプラの株価は前日から−225円の1000円ちょうどとなり、大きく下落するもストップ安にはならなかった。
なお始値と安値は955円、高音は1034円で陽線となった。
また任天堂も-110円の44,120円となり、割合では小幅ながらも下落した。
他のスマホゲームメーカーでは、特にこれと言った動きがなかったが、スマホゲーム動画配信・攻略のゲームウィズがストップ高になった。
今後もコロプラや任天堂の株価には注視していきたい。
白猫プロジェクトはどうなる?
白猫プロジェクトは、今後同じような形で運営を続けていくのは難しいだろう。なぜならばこれから裁判が行われることで、将来に不安を感じたユーザーが離れていくのは必然的なことだからだ。
ただ、今回の任天堂の要求はあくまで「差し止め」。アプリ自体を廃棄しろとまでは言ってない。賠償金と特許料を支払う形で決着すれば、コロプラとしては痛手だが、その後も運営を続けることができる。
また、極めて困難ではあるが問題になった部分のシステムを別なものに置き換える、あるいはいっそ「白猫プロジェクト2」として新しいタイトルを開発するなど、様々な可能性がある。
万が一のわずかな可能性だが、任天堂が「白猫プロジェクト」の権利を買収するなんてことも。まあ、ケンカ相手のコンテンツを欲しがるなんてまず考えられないことだが。
最も考えにくいことは、これだけ人気があるコンテンツが即消滅することだ。「白猫テニス」だってあるが、そちらは別に裁判の争点になっていない。
現在の「白猫プロジェクト」という"アプリ"は、もしかしたら無くなるかもしれない。
ただ、「白猫プロジェクト」という"コンテンツ"は、何らかの形で続いていくだろう。
それが私の見解だ。